「産後骨盤矯正は意味ない」と言われる一方で、整体や整骨院の「骨盤矯正」を受けて、「体が楽になった」「体型が戻った気がする」と感じる方も少なくありません。このギャップに、あなたも戸惑っているのではないでしょうか? ここでは、整体・整骨院での「骨盤矯正」について、客観的な視点からそのメリットとデメリット、そして賢い利用法をお伝えしますね。

A. 施術のメリットとデメリットを客観的に見る

「骨盤矯正」という言葉は、主に整体や整骨院で使われますが、その効果や位置づけには注意が必要です。

  • メリット:
    • 体感的な改善とリラックス効果:
      施術後に「楽になった」「調子が良くなった」と感じる方が多いのは事実です 。これは、筋肉の緊張が和らぎ、関節の可動域が改善されたり、血流が促進されたりすることによるものと考えられます 。育児で疲れた体をほぐす効果は期待できるでしょう 。

    • 不調の解消:
      腰痛、肩こり、体型変化、冷え性、むくみなどの症状が改善されたという声も聞かれます 。骨盤周辺の筋肉バランスが整い、内臓の位置が正常化されたり、血行や代謝が向上したりする効果が考えられます 。

    • 専門家によるアドバイス:
      施術者が骨盤の状態をチェックし、自宅でのケア方法や姿勢のアドバイスをくれる場合があります 。

  • デメリット:
    • 科学的根拠の不足:
      「骨盤矯正」という概念自体が、骨の物理的な歪みを矯正するという意味においては医学的根拠に乏しいという批判があります 。骨盤の非対称性と腰痛の関連性が見られないという研究結果も存在しますよ 。

    • 施術者のスキル差とリスク:
      施術者の技術や経験によって、効果や安全性が大きく左右されることがあります 。誤った方法や過度な力が加わると、かえって症状が悪化したり、怪我につながったりする可能性もゼロではありません 。

    • 費用負担と継続性:
      一度の施術で完結することは稀で、効果を維持するには定期的に通う必要があるため、時間と費用がかかります 。1回あたり5,000円〜7,000円程度が相場とされており、複数回通うと数万円になることもあります 。

    • 向いていない人:
      骨折や関節炎などの疾患がある方、妊娠中の方、重度の心臓疾患や高血圧の方など、施術が推奨されないケースもあります 。

B. 保険適用の現状と注意点

「保険が使えるなら…」と考える方もいるかもしれませんが、注意が必要です。

  • なぜ保険適用外なのか:
    産後の骨盤矯正は、基本的に健康保険の適用外となります 。健康保険が適用されるのは、捻挫や打撲など「急性のケガ」や、負傷原因がはっきりしている痛みのみだからです 。慢性的な肩こりや腰痛、そして産後の骨盤ケアは、これらの保険適用条件に該当しないため、自費診療となります 。

  • 【警告!】違法な保険適用を謳う施術院には要注意!
    接骨院・整骨院で施術を行うのは国家資格を持った柔道整復師ですが、医師ではないため、医療行為(注射や薬の処方など)はできません 。もし、産後の骨盤矯正を「保険適用で受けられる」と謳う施術院があった場合、それは違法となる可能性があります 。このような施術院を利用すると、後から全額自己負担となるリスクもあるため、十分な注意が必要です。

C. 賢い選び方と利用のポイント

整体や整骨院での「骨盤矯正」を検討する際は、以下の点を踏まえて賢く選択しましょう。

  • 信頼できる専門家の選定:
    施術を受ける際は、施術者の資格(柔道整復師など)、経験、実績、そして口コミをしっかりと確認し、信頼できる専門家を選ぶことが非常に大切です 。

  • カウンセリングの重要性:
    施術前に、あなたの身体の状態や悩みを具体的に伝え、個別の状態に合わせた施術計画を立ててもらいましょう。施術内容、期待できる効果、費用、期間について納得いくまで説明を求めることが大切です 。

  • 過度な期待はしない:
    一度の施術で全てが解決するわけではないことを理解し、即効性や大幅な体型改善、ダイエット効果だけを期待するのは現実的ではない、という視点を持つことが重要です 。食生活や運動習慣との組み合わせが不可欠ですよ 。

  • 【最も重要!】医療機関との連携:
    症状が重い場合や、不安がある場合は、まず医療機関(産婦人科、整形外科など)を受診し、医師の診断を受けてから、整体や整骨院の利用を検討するべきです 。医療機関での診断に基づき、整体や整骨院の施術を「補助的なケア」として位置づけることが、安全かつ効果的なアプローチにつながります。